自作PC用として店頭に並ぶパーツの中で、ビデオカードほど値段に差があるにも関わらず、その差がピンとこないパーツはないかもしれない。確かにどれを使ってもきちんと「映る」わけで、CPUのように動作速度の優劣やメモリのように、容量の大小といった顕著な差が見えてこない。それにもかかわらず、ビデオカードには3000円程度のものから7万円、8万円といった高価な製品までが出回っている。

ビデオカードの性能をどこまで求めるのか

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この差は何だろうか。それは性能の差に他ならない……と言ったら、「それが見えにくいんだ」と言われそうだが。それでは性能の差を具体的に見ていこう。ビデオカードにはGPUが搭載されている。これは、言わばグラフイツク処理に特化したCPUだ。このチップにはさまざまな種類がある。その中でも人気が高い「INVIDIA GeForce」と「ATiRADEON」について、ビデオカードにも性能を示す数値がある。当然、それぞれで性能が高いほど値段も高くなる。現在は先に述べた2社が、いわばIntelvs AMDのような性能競争を繰り広げている。その中で、ハイエンドやミドルレンジ、ローエンドといった棲み分けを行ない、ユーザーのニーズに応えるべく製品開発を行なっている。この点はCPUと同じだ。
ただ、普通にWordやExcelを使ったり、ネットを眺めているなら、高性能なビデオカードは必要ない。ローエンド製品でも用は満たす。CPUのパワー不足やメモリの容量不足のように、動作が遅くなってイライラすることもない。しかし、グラフイツクを駆使したゲームをしたり、CAD開発などで3D映像の環境を使いこなすなら、ハイエンド寄りの製品を使う必要がある。なぜなら、GPUの性能が低いと、複雑なグラフイツクを描く際に時間がかかり、画面表示が遅く感じるうえに、スクロールが遅くなる、あるいはGPU処理が追いつかず前の画面の残像が出てしまうといった不都合が起こる。
つまり、3Dポリゴンのゲームをサクサク動かすような使い方をするなら、それなりに値の張るビデオカードを積もう。また、テレビ出力や高画質なビデオを満喫するなら、デジタル出力を持つビデオカードが必要だ。それ以外でネットサーフィンをする程度なら、特に高価なビデオカードは必要ない。それどころか、ビデオカードをわざ、わざ買って積まなくてもよい方法もある。
なお、AMDがATiを傘下にしたことにより、ATiのチップはAMD系のマザーボードで安定し、一方で、NVIDIAIまIntel系で安定するという通説もある。確かにその傾向はあるようだが、逆の組み合わせだからといって極端に不安定になることはない。CPUのメーカーにとらわれず、自分の欲求を満たすビデオカードを選ぶ方が先決だ。

オンボードで済ます

ピデオカードは自作PCにとって必須のパーツではない。こう言うと誤解を招くかもしれないが、ビデオカードをマザーボードに内蔵してしまう方法があるのだ。それは「マザーボード」でも紹介した「ビデオ内蔵」のチップセットを使うことだ。
マザーボードに乗っているチップセットには、CPUに合わせていくつかの種類があることはすでに述べたが、大抵のチップセットには同じ性能のものが2種類用意されている。それがグラフィック機能なしとグラフイツク機能つきの違いである。たとえばCore2Duo向けのIP965J にはグラフィック機能はない。一方で性能がP965とまったく同じIG965Jにはグラフイツク機能が内蔵されている。つまりIP965+ビデオカード=G965Jとなる。
マザーボードを選ぶときに、チップセットがG965であれば、ビデオカードを別途用意しなくても、オンボードでそのままビデオ出力が得られる。マザーボードの背面端子群を見ると、ビデオ出力のあるものとないものが存在するので、その区別は簡単だ。オンボードの場合、ビデオ性能は「ソコソコ以上」といえる。前述のように、一般的な使い方で困ることはない。「以上」と表現したのは、チップセットIAMD690GJには「ATiRADEON X1250」が内蔵されているなど、単体のビデオカードとしても十分に性能を発揮している人気どころが組み込まれているチップセットがあるからだ。徹底的にこだわるならビデオカードを別パーツに、それほどこだわらないならオンボードで済ますといった選択肢がコストパフォーマンスを考えても賢いかもしれない。

ユニファイドアーキテクチャ

ビデオカードのインターフェイスは、PCI→AGPと変化し、現在はPCIExpressがほぼすべてを占めている。他のインターフェイスに比べて変化が激しいのは、いかに大容量のデータを高速で転送する必要があるかを物語っている。PCIExpress の特徴は、PCIやAGPのパラレル転送に対し、転送がシリアルで行なわれること。これはIntelが開発していた3GIOを標準化した規格である。片方向で2.5Gbps、双方向5.0Gbpsの全二重通信が可能だが、実効データ転送レートは片方向2.0Gbps(250MB/s)、双方向4.0Gbps(500MB/s) となる。これは8ピットのデータを送る際にクロック信号などを2ピット追加するためだ。
いずれにしろゲームなどで、多く使われる3Dグラフイックでは、大量のデータ転送を要求されるため、今やPCIExpressが必須のインターフェイスとなった。また、ビデオカードにもクロックアップが存在する。このことからも、ビデオ性能が重要なキーになることは理解できるだろう。

アーキテクチャの将来型

グラフイツク性能にこだわるのが主にゲーマーとするなら、これに当てはまる人はユニファイドアーキテクチャという言葉を知っておこう。ユニファイドアーキテクチャは、NVIDIAのGeForce 8800あたりから現れた言葉で、従来型のアー キテクチャとは一線を画す新しい将来型のアーキテクチャとされている。
従来のインデイベンデント(独立)シェーダをユニファイド(統合)する。具体的には、ジオメトリプロセッシングをSPUに振り分ける。その結果、シェーダプロセッサをピクセルシェーデイングに割り当てられるため、全体のパフォーマンスが向上する。これがユニファイドアーキテクチャである。DirectXIOも普及し、ユニファイドアーキテクチャはまさにこの時代に生まれた画期的なグラフイックアーキテクチャであり、今後はこのアーキテクチャが主流となるであろう。将来的にはCPUにこのユニファイドGPUが組み込まれるのではないかといった予測まである。それだけGPUのユニファイドアーキテクチャは応用幅が広い。
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